「電話回線(ADSL)のネットは遅くなりやすい!」と耳にしたことはありませんか?
実はこれ本当のことで、今日では主流となっている光回線と比較すると大きな差があります。日本のネット環境を普及させた電話回線が衰退しているのも、光回線に比べて遅いからなのでしょう。
そこで、今回は電話回線と光回線の通信速度を比較します。また、電話回線のネットがなぜ遅いと思われるのか、通信速度が遅くなったときの対処法にも触れていますので、参考にしてみてください。
1.電話回線と光回線の通信速度を比較!
「電話回線(ADSL)のネットは遅い!」とのことですが、光回線と比較してどれほどなのでしょう?
- 電話回線…約47Mbps
- 光回線…約1Gbps(1,000Mbps)
上記は電話回線と光回線の下り(ダウンロード時)のベストエフォート値(最高速度)です。単純計算で電話回線は光回線と比べて21分の1以下の速度しかなく、これでは遅いのも頷けます。
さらに、ベストエフォート値とは最高の環境で最高の性能を発揮したときの数値のことですから、実際にはまず約47Mbpsも出ません。上記の数値よりもさらに電話回線は遅いということです。
それでも、2000年初期頃は電話回線(ADSL)のネットでまったく問題がなかったのも事実です。これにはネットの利用目的、必要とする通信速度の関係を調べてみるとその理由が見えてきます。
- ページの閲覧…100Kbps〜3Mbps
- 音声通話…10〜100Kbps
- ビデオ通話…300Kbps〜2Mbps
- 動画の視聴…0.5〜25Mbps
- アプリのダウンロード…1〜5Mbps
上記の通り、動画の視聴やアプリのダウンロードなど、一部を除いてネットは5Mbps以下で快適と言えます。電話回線でも十分なのですが、ただより快適な光回線には目劣りするというだけです。
2.ネットの通信速度が遅いときの対処
光回線と比べて電話回線の通信速度は21分の1以下とのことでした。それでも本来はネットを快適に使用できる速度なのですが、まれに不便なほど遅いことがありそれは以下の原因が考えられます。
ノイズに妨害されている
電話回線(ADSL)は別名「デジタル回線」とも呼ばれ、かつての電話線に比べて送受信できる情報量、安定性は圧倒的に向上しました。それでもまだ外部のノイズに影響されやすいのが特徴です。
その為、家電から発せられる電磁波を浴びただけでも、通信速度は著しく低下することがあります。電話回線が遅いときの原因No.1なので、モデムや配線をこうした家電の側に置くのは要注意です。
モデムが高温になっている
モデムとは外部ネットワークと内部ネットワークの中間に設置される機器のことで、主に送受信されるデータの処理を行っています。つまり、モデムがネット環境の窓口になっているという訳です。
モデムは24時間365日稼働させるものですが、周囲が囲まれているなど環境によっては高温になり停止することがあります。これは熱が下がれば解決するので、一時的に電源を落とせば大丈夫です。
Wi-Fiを使用している
Wi-Fiとは無線(電波)を使用してケーブルに繋がなくてもネットに接続できる方法のことで、電話回線でもWi-Fi機器さえあれば簡単に設定できます。複数台で1度に接続できるのも魅力でしょう。
しかし、Wi-Fiで使用する電波はノイズや障害物の影響を受けやすく、有線よりも通信速度は落ちます。ただでさえ遅いとされる電話回線で使用すると、環境によっては不便なほど遅くなるのです。
ケーブルの状態が悪い
Wi-Fi(無線)を使用していて通信速度が遅いのはまだ分かりますが、ケーブル(有線)でも遅くなることがあります。これはケーブルが折れ曲がっている、または古くなっているのが原因でしょう。
電話回線(ADSL)の登場したのが1999年頃ですから、すでに20年経過している訳です。初期に導入したものだとケーブルの状態が悪くなっていて、新しいものに交換すれば改善することもあります。
ネット回線が混雑している
ネットを使用していると、まるで自分1人が1本のネットワークを使用している感覚になりますが、実際は複数人でシェアしている状態です。当然、通信が集中すれば回線はパンクして速度は落ちます。
ただ、光回線が普及した今日、電話回線でのネットの利用者は全体の5%ほどです。この状況でネット回線が混雑することはあまり考えられないので、まずは他の原因を疑うのが良いでしょう。
3.まとめ
電話回線(ADSL)の通信速度(下り)は最高約47Mbps、光回線は約1Gbps(1,000Mbps)とのことでした。光回線に比べて電話回線の速度は21分の1以下なのですから遅いのも当然でしょう。
しかし、いくら光回線よりも遅いといっても、ページの閲覧や音声通話など大抵のネット使用では問題のない速度です。不便なほど遅いのだとしたら、別の原因が考えられるかもしれません。
今回紹介したノイズによる妨害、モデムのオーバーヒート、Wi-Fiの使用などは電話回線の通信速度が遅くなるよくある原因のひとつです。もし遅いことで困っているのならぜひ調べてみてください。
ただ、結局のところ通信速度で光回線には勝てないので、思い切って乗り換えるのもひとつの手です。